2007年12月7日

髪を切った。少し。美容院で髪を切ったのは何ヶ月ぶりだろうか。


そのあと、和光大学B303アトリエの「SUMISEMI PROJECT-6鷲見ゼミプロジェクト 2007 <ペノーネの方へ>」を観に行った(同時開催されている「アンデポンタン Art Week in Wako」は、昼間の方がよさそうなので別の日にする)。去年のプロジェクトでは山中信夫を取り上げて、自分もゼミ員としてすこし参加していたので、大学を卒業して、一観客として展示をみるのは今年が初めてだった。最近までジュゼッペ・ペノーネという作家は名前を聞いたことがある程度で、どういう作家かはよく知らなかったのだけれど、9月に行ったヴェネチア・ビエンナーレで生に作品を観ることができた。莫大な数の作品が展示されている中でも、印象に強く残っている作家のひとりだ。ペノーネの作品でいくつかあった中でも、大きな角材がある部分をくり抜かれた状態で横たわっているという作品は、一見すると、本来あるべき姿(樹木)からそこまで掛け離れていないような気もするけれど、やはりそこには不自然さが漂っていると感じた。それがいいと思った。その着かず離れずの本当に微妙な感じが。的を得ているのか不安だけれど。自分はいつも的外れなことを言ってしまうから…。しかしまあ、とりあえずその負い目は置いておいて、やはり自分はその微妙さに反応し、そしてそれは自分が絵を描くときにも意識していることだと思う。あえてそうしようとしているわけではないと思うけれど、自分の描いた絵は、どっち着かずな、観る人を(たぶん自分のことも)はぐらかすような節がある。あるいはそういう方向に絵が向かっているというか近づいていくというか…。自分のことについてはまた別の日に書くとして、とにかく、ペノーネの作品をゼミ生が考察して、それに関係した事柄(同時に展示されている鉛筆の芯だけ残して木の部分を削っていくとか、木と触れ合うこととか、凸と凹のこととか)を体験して、実際にペノーネの作品に似たようなことをやってみて、そうしてできたものを展示するということは、自分の制作にも還元できるような要素があるかも知れないし、単純に、ペノーネを知らなかった人たちにその存在を教えるという意味もあるかも知れない。あとは、こういう一連の流れは、個人でやるよりも多人数でやることによって、スケールが大きくなるし、ひとりでは見出せないものも見えるかもしれない。作品に関わることだけでなく、人間関係も。つまり、自分はそういうことをぼんやり考えたりしながら展示を観ていた。幸い自分しか部屋にいなかったので、しばらくそこに居て何かを考えていた。


展覧会をじっくり見たのは久しぶりだったかな。そのためか、髪を切ったからというのもあるかも知れないけれど、なんだか、本当に少しだけ、気持ちが軽くなったというか。自分も、何かできるような気がして。何かは分からないのだけれど、何かできるようなきがして。


帰り道に聴いていたのはeuphoriaというバンドの「fairytale  landscape」という音楽。このバンドを知ったきっかけは友人の紹介で、自分は、その友人にひどいことをしてしまったのではないかと思っていて、でも何もできずにいる(もしかしたらしていないだけかも)。昔、ある他人に対して、言わなくていいことを言うのは言った本人がそれを言うことによって楽になりたいからだ、と言ったことがある。だから自分はそれを許さなかった。けれど今ここにこうして、自分が日記に書いているようなことは、まさに自分が楽になりたいからなのかも知れない。それはよくないと、何度も言っているのに。