2009年5月22日

目黒/目黒区美術館「上野伊三郎+リチ コレクション展 ウィーンから京都へ、建築から工芸へ」、日本橋/日本橋高島屋「荻原季美子・山本直彰 二人 展」、上野/東京藝術大学大学美術館陳列館「第3回企業のデザイン展 資生堂・サントリーの商品デザイン展 -over a century of design by Shiseido & Suntory -」、上野の森美術館「ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション」展。


上野伊三郎+リチの展覧会は、伊三郎が主に建築の図面、リチは主に伊三郎の設計した建物の内装デザインや工芸品のデザイン画、そのデザインを形にした実物 の展示だった。印象がつよかったのがリチで、壁紙や生地、小物入れなどのデザイン画は、どうしても絵に見えた。見ているときに、自分の目が歓んでいた。そ れだけで部屋に飾ってあっても素晴らしいような。また、紙の色が茶色っぽく変色していることは、否応でも時間の長さを感じさせて、この絵が描かれたとき の、ひとりの女性のことを想像させた。伊三郎の建築の図面は、自分にはよく分からないような言葉や線があって、だからか、それもまたひとつの絵として見て しまった。設計図の横に、実際に建てられたその建物の写真も展示されていて、そのふたつを見比べると、人が紙の上で想像したものが、機能をもつ物へと実際 の形になっていた。当たり前になっていることだけれど、ふと、「すごいことじゃないか。」と思った。それは、設計した伊三郎(頭)と建てた人たち(手)の 間には、なにか自分の知らないことが多そうだ、と。

山本先生の授業を、大学の後半2年間とっていた(さぼった日もある)。絵について、その考え 方について、人との接し方について、よく話していた記憶がある(自分は聞く一方)。憶えている。ロマンチストという甘い言葉は不似合いだけれど、そういう 面が多々ある素敵な大人だ。

資生堂とサントリー。自分が買うのはサントリーのジュースくらいだけれど、両方とも、広告はよく目にしていたと知っ た。それと、自分が買わなくても商品はお店によく置いてある。陳列館にずらりと並んだ両社の商品のデザインは、時代を反映するというのもあるけれど、消費 者へのメッセージが込められていたり、その商品を見た目からも物語るようなもので、納得する部分があった。クールなイメージだから「細身の角張った瓶で色 はブルーが基調」だったり、高級感を演出するために「金色の蓋」「手作りのカットガラス」だったり。それと、そのものの形だけでなく、商品名や情報文の フォントも注意して選ばれている。歴史を追うことを目的とせず会場に入ったとしても、楽しめる展覧会だったと思う。1階は、列を成して見るような展示の仕 方で、自分も順々に商品を見ていたら、後ろのほうで、おじさん2人が「あった、あった。そういえばこんなのあったよねえ~。」と大声でしゃべっていた。そ うだなあ、自分でも懐かしい商品(サントリーの「はちみつレモン」)があったくらいだから、おじさんたちには、もっと、青春時代に使ったサンオイルとか、 お酒とか、色々あって、そういう点でも楽しめたのかなあ、と思った。

高橋コレクションでは、色々な作品が見られた。ひとりの人が選んだとは思え ないくらい、色々なタイプの作品があって、何が、この人の基準なのかなあと、ときどき思った。きっと何かのルールというか決まりがあるのだとは思うのだけ れど。経済力が雲泥の差(!)ということは抜いて考えたとしても、自分には分からなかった。でも、前から自分が欲しいと思っていた作品もあった。たとえ ば、さわひらきさんの映像。自分が初めてさわさんの作品を見たのはたぶんあれで(食器や文房具などに足が生えて歩いたり飛んだりするやつ)、そのとき「欲 しい!」と思ったんだ。すこし、羨ましく思った。


今日はなんだか、へとへとになった。