2009年7月12日

数日だけれど千葉に帰っていて、そのうちの半日は、高校に行くために使った。人生の中で、今に確実に繋がっている選択は何か、と聞かれたら、自分は、「この高校に行くことを選んだ決断だ。」と答えるだろう。世界の歴史から見たら、無いに等しいくらいの時間の堆積や、出来事の集積だが、ひとりの人間には、充分過ぎるくらいのそれだった(もっとも、もっとちゃんと、色々なことに向き合えるだけの知恵や術が身に付いていれば、と思うことも、今になってみればたくさんあるのだが)。同級生とは連絡をとっていない。高校に行くのは、(いつも決まった、数人の)先生たちに会うためだ。自分が居たころとは、景観がすこし変わったところもある。この日は、授業が半日だけで、帰宅する学生や部活動をする学生で賑わっていた。元気のいい人たちのなかを歩き、それだけでなんだかとてもはずかしい気持ちになっていたのだけれど、校内を歩いていたら、日に焼けた、いかにも今風の(言い方が古いか、、)男子学生が、「こんにちは」と挨拶してくれた。自分も「こんにちは」と返しながら、驚いて、でもそれとほぼ同時に、高校生のとき、たしかそういう、校内で来客に会ったら挨拶をするようにという指導を受けていたなあ、と思い出していた。美術室で、美術部の人たちに紛れて、片付けの手伝いをしたり、本を読んだりしたあと、帰った。


帰りに、喫茶店に行き、美術の先生と、アニメの話や、日本の都道府県の位置の話をした(2人とも記憶が曖昧だから日本列島の天気図で答え合わせをした)。この喫茶店のレジの前には、オリジナルのマッチ(箱じゃなくて二つ折りのケースのやつ)があって、今どき珍しいなあと思い、2つもらってきた。「人のセックスを笑うな」のなかで、ユリが煙草に火をつけるときに、このタイプのマッチを使っていて、火のつけかたがカッコいいなと思っていた。それを自分もやりたかったのだけれど、身近にそんなマッチは売っていなくてできずにいたのだ。それで今日、試しにやってみたら、これがなかなか難しい。慣れていないから、手つきが覚束ない。それでもコツをつかんで、やっと火をつけることができた。火がついたら指で弾いて消す。ユリがやっていたように。でもただつけて消すだけでは、つまらない。