2016年6月30日

言葉にできないから絵を描いているのだが、
絵を続けていると、ことごとく言葉を求められる。




2016年6月29日

知っている人や場所が、次々に無くなってゆく。
自分は長いあいだ同じ場所にいて、いつも見送る側に取り残される。




2016年6月17日

2年経ちました。
本当は兄だった人、まだここを見てくれているだろうか。




空港を使うたびに、姿を探してしまう。
駅のホームにいるかもしれないと、姿を探してしまう。
誰かの歌みたいに。




2016年6月13日

絵も憶えていてくれたことに驚いて、
それ以上に照れてしまって、
まともに話せなかった。




2016年6月11日

何年か前に映画館で見つけたフライヤーを、今もたいせつにとってある。
気がついたら上映が終わっていて、レンタル屋で借りるのではなくて、DVDを買った。
これはきっと、これから先も何度も観ていく映画だと思ったから。

冬のあいだ閉鎖されている遊園地で暮らす男と、牧場で働く冬沙子。
ふとしたことで出会って、心を通わせていく。

やっと見つけたと思った安らぎの時間が、突然消えてしまう。
「僕は確かに、君の一瞬にいた。」
その言葉は届かない。
その哀しさ。
まるで、雪の白さと厳しい寒さが、それを浄化していくように見える。




この映画の舞台となった由仁町に、1年半前に行ったことがある。
札幌から電車とバスを乗り継いで、着いたときにはすでに夜だった。
映画のなかに出てくる食堂は実在の店で、鍋焼きうどんを食べた。
痛いくらいの寒さで冷えた身体が、芯から温まった。
食堂のおばさんが撮影中のことや渡部さんのことをいろいろ話してくれた。

帰りの由仁駅で、まるで映画の中の男と同じように電車を待っているとき、何とも言えない気持ちになったのを憶えている。


最近また見返していて、いい映画だなと思う。
イヤホンで観ないと、台詞はほとんど聞き取れない。
単調だけど丁寧に生活している冬沙子に、自分も恋をしてしまいそうになる。
今日も来るかな、と無意識のうちに彼女を待つようになる主人公の男に自分を重ね合わせて、切なくなる。